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2007年08月 アーカイブ
2007年08月31日

夏の思い出

809.jpg世間の子供たちにとって今日は夏休み最後の日である。シューマンの音楽を聴きながらかつて少年だった頃感じた、この「夏休みが終わる」ということの寂しさ、名残惜しさ感のようなものをふと思い出した。おそらくまだ小学校の低学年の頃のことのように思うのだが、叔母から「潜水艦(船体の色がブルーだったことやスーパー・サブマリーンという名前だったこともなぜか明確に覚えている)」のおもちゃをプレゼントしてもらい、小さな子供用プールに水を張り、無邪気に遊んでいるという何でもない記憶がなぜだか蘇る・・・。

どうもシューマンの音楽は「過去を喚起する」何かが潜んでいるように感じる。有名なピアノ音楽「子供の情景」然り、ピアノ協奏曲然り。
梅毒による病で自殺を図り、最終的には精神に破綻を来しそのまま帰らぬ人になったシューマンは、決して強い精神の持ち主ではなかったようだ。特にこの第2交響曲は、「精神分裂」色が濃厚で、聴くに堪えない支離滅裂さがあると一般的にはいわれる問題作であるが、僕にとってはとても大好きな大切な楽曲。確かに暗鬱とした雰囲気に気が滅入ってしまうのかもしれないが、第3楽章アダージョに見られる「安息と激情」の交叉が逆に「こころ」をとらえて放さない。

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2007年08月30日

波動

41Y8AQ8C6HL._AA240_.jpgとても涼しい(むしろ寒いくらいの)心地よい午前中。いつものようにチベット体操をし、セルフ・ヒーリング。そして、瞑想。今夜は宇宿允人のチャイコフスキーの第5交響曲を聴きに出掛けるのだが、ふと例の「運命の主題」が頭の中を駆け巡る。

ショーペンハウアーは標題音楽を否定し、音楽というものは作曲者の手から離れた瞬間にいわゆる「主観」を離れ、「絶対音楽」として独立した存在になると確か言っていたように記憶する。しかしながら、「音楽」も波動、人間の意識も波動、この世に存在するモノは全て「波動」であるゆえ、作曲者が楽曲を創作したときの状態や意識は「音という波動」に記録されているので、創作者の意識は楽曲と共に永遠不滅なのではないのだろうか。かの哲学者の思想とは相容れず、「音楽」という創造物が「主観」と乖離することは決してないと僕は考える。

ブルックナーが「神に捧げた」永遠不滅にして最期の名作、交響曲第9番を聴く。

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2007年08月29日

狂気

41NQHZRHJ0L._AA240_.jpg東京は曇り空で昨日の月食は残念ながら見ることはできなかった。
そう考えながらとり出したのがピンク・フロイドのCD。「狂気(原題は、The Dark Side of the Moon)」と題するこのコンセプト・アルバムは人間の内面に潜む「闇、暗」の部分にフォーカスをあてて仕上げられたロック史上屈指の大傑作。
制作されて30数年を経過するが、未だに色褪せないその音作り、哲学的な歌詞など音楽を志す(演る人ももちろん、趣味で聴く人にも)人々に絶対に聴かせたいと思う人類の至宝である。

Pink Floyd:The Dark Side Of The Moon

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2007年08月28日

より良い人生を送るため

51Z18AXM00L._AA240_.jpg今日は満月である。しかも月食。こういう日は、「過去のこだわり」や「不要なもの」を捨てるのに好都合である。新しい自分自身に生まれ変わる「転機の日」なのだ。そう思った矢先、ほんとにいくつかの案件に変化が訪れた。不思議なものだ・・・。

僕がまだ大学生だった頃、初めてビートルズを聴いたとき感動した。
それが、Here, there and everywhereという楽曲。
クレジットはLennon/McCartneyだが、明らかにポール作。ポールの作品の中でも1、2を争う屈指の名曲。そして、ビートルズがライブ活動を辞めて最初に出したアルバム「Revolver」に収められているラブ・バラードである。美しい。

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2007年08月27日

粋・・・

419.jpgモーリス・ラヴェルの音楽は真夜中に聴くのになぜかぴったりだ。昨晩も遅くに帰宅してふとピアノ協奏曲を聴きたくなり、おもむろにアルゲリッチ盤をとり出した。第1楽章最初の鞭の音から相当なインパクトがあり、ジャズの影響下にあるとてもお洒落な楽曲。特にモーツァルトのクラリネット五重奏曲に感化されたといわれる第2楽章は簡潔に書かれ、かつ精緻でとても美しい。

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団

ラヴェルはアルゲリッチの十八番でCDも何枚か発売されている。どれをとってもアルゲリッチらしい劇的で痛快な演奏。まぁ、人によっては「ラヴェルらしからぬ」ということで嫌悪感をもつこともあるでしょうが・・・。
数年前、ゲルギエフ&ロッテルダム・フィルのバックでルガンスキーがサントリーホールで演ったのを聴いた。生で聴くとより感動的。

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2007年08月26日

四季

apletonov.jpg昨日の「第7回早わかり古典音楽講座」ではチャイコフスキーをとりあげた。長年クラシック音楽を聴きながらチャイコフスキーは僕にとっては遠くも近くもない作曲家であったが、久しぶりに集中的にいろいろ聴いてみると、流石に人気作曲家。旋律はとっても美しく、曲想は優美かつ豪快、そして構成もよくできていてどんな初心者にも「感動」を与えてくれるから立派なものである。

今日はチャイコフスキーの「四季」を聴く。
ヴィヴァルディの協奏曲「四季」やハイドンのオラトリオ「四季」など、「四季」と名のつくクラシック音楽はいくつかあるが、中でもこの曲集は暗く切ない。尤もロシアという広大な大地で人々が感じる「四季」と極東の島国で育った我々日本人が感じる「四季」にはもちろん大きな相違があるだろう。厳密な意味で「四季」を持っている、そして「四季の移り変わり」というものを感じることができるのは我々日本人だと思うが、日本の「わび、さび」に通じる「何か」がこの曲集の中にはある。

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2007年08月25日

天使の詩

933.jpg今日はレナード・バーンスタインの89回目の誕生日である。逝って早くも17年、時の経過は早いものである。バーンスタインといえばマーラー。60年代の早い時期からマーラーの全集を制作し、ウィレム・メンゲルベルクやブルーノ・ワルター、オットー・クレンペラーなどの旧世代の指揮者たちの後釜として20世紀後半を代表するマーラー指揮者として君臨した。映像を含めて生涯に3度マーラー全集を作っているが、やはり晩年のユニバーサル盤が最高か。

マーラー:交響曲第4番ト長調
クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾソプラノ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/967933

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2007年08月24日

ショスタコ!!

444.jpg秋に井上道義氏のプロデュースで「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」なるイベントが開催される。会場は何と日比谷公会堂。1960年代頃までは海外アーティストの公演はほとんど「日比谷」だったというその会場においてショスタコが鳴り響くのだ。やばい。行きたい・・・。

ショスタコーヴィチは、特に交響曲や弦楽四重奏曲など、ベートーヴェンの同ジャンルの傑作を音楽史上唯一乗り越えた「天才」作曲家であると僕は常々評価する。スターリン政権下の恐怖政治の中、そしてソビエトという社会主義国家の中で体制に従いながらも「自分自身の主張」を影ながら忘れなかった唯一無二の音楽家である。

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2007年08月23日

哀愁

41S82F7ZG2L._AA240_.jpg今朝起きたとき妙に涼しく一瞬「秋の気配」を感じた。午後はいかにも残暑という日差し。
毎年初秋の頃に聴きたくなる音楽がある。セルゲイ・ラフマニノフ。19世紀末に生まれ20世紀の前半のコンポーザー・ピアニストとして一世を風靡したロシアの大音楽家である。
彼の作風はチャイコフスキーと並びとても浪漫的でメロディアス、しかもメランコリックで胸にキュンと迫る愛おしさを感じさせるものである。モダニズムやキュービズム全盛の時代に「時代遅れ」だと後ろ指をさされた時期もあったようだが、21世紀の今も好んで聴かれているところをみるとやはり天才音楽家なのだと思う。

ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調作品44
ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団
amazonで購入!

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2007年08月22日

異常な緊張感

img_1491345_49014694_0.jpgソ連の映画監督、アンドレイ・タルコフスキーが自身の遺作「サクリファイス」について語った記事が残されている。彼が「サクリファイス」という映画を生み出そうとした理由がそこには語られている。要約すると、
「今日世界はもっぱら物質的な面で発展を遂げている。その進化は霊的なものと真反対の方向に向かっている。しかしながら、私たちは霊的な発達を目指さない限り、生きることはできない。自分の宇宙が矮小化し、その調和が破壊されるなら、もはや人には生き続ける理由がない。」そして、「物質が荒廃しても生き延びられるが、精神が荒廃すると人間性は滅びる」という考えから映画の中で「自己犠牲をなすことのできる人間」を提示したということだ。

20年ほど前の公開時に観たときには難解でさっぱり理解できなかった。しかし、主人公のアレクサンデルが一人静かにステレオ装置で聴いていた日本風の音楽(尺八か)については妙に当時から気になっていた。数年前、そのアレクサンデルがまさに映画の中で聴いていたレコード(CD化されているが)を手に入れ、一聴したときの「驚きと感動」はいかばかりのものだったか・・・。

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アレグロ・コン・ブリオ~「愛」+「勇気」=「ワンネス」:2007年08月アーカイブ
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夏の思い出

809.jpg世間の子供たちにとって今日は夏休み最後の日である。シューマンの音楽を聴きながらかつて少年だった頃感じた、この「夏休みが終わる」ということの寂しさ、名残惜しさ感のようなものをふと思い出した。おそらくまだ小学校の低学年の頃のことのように思うのだが、叔母から「潜水艦(船体の色がブルーだったことやスーパー・サブマリーンという名前だったこともなぜか明確に覚えている)」のおもちゃをプレゼントしてもらい、小さな子供用プールに水を張り、無邪気に遊んでいるという何でもない記憶がなぜだか蘇る・・・。

どうもシューマンの音楽は「過去を喚起する」何かが潜んでいるように感じる。有名なピアノ音楽「子供の情景」然り、ピアノ協奏曲然り。
梅毒による病で自殺を図り、最終的には精神に破綻を来しそのまま帰らぬ人になったシューマンは、決して強い精神の持ち主ではなかったようだ。特にこの第2交響曲は、「精神分裂」色が濃厚で、聴くに堪えない支離滅裂さがあると一般的にはいわれる問題作であるが、僕にとってはとても大好きな大切な楽曲。確かに暗鬱とした雰囲気に気が滅入ってしまうのかもしれないが、第3楽章アダージョに見られる「安息と激情」の交叉が逆に「こころ」をとらえて放さない。

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波動

41Y8AQ8C6HL._AA240_.jpgとても涼しい(むしろ寒いくらいの)心地よい午前中。いつものようにチベット体操をし、セルフ・ヒーリング。そして、瞑想。今夜は宇宿允人のチャイコフスキーの第5交響曲を聴きに出掛けるのだが、ふと例の「運命の主題」が頭の中を駆け巡る。

ショーペンハウアーは標題音楽を否定し、音楽というものは作曲者の手から離れた瞬間にいわゆる「主観」を離れ、「絶対音楽」として独立した存在になると確か言っていたように記憶する。しかしながら、「音楽」も波動、人間の意識も波動、この世に存在するモノは全て「波動」であるゆえ、作曲者が楽曲を創作したときの状態や意識は「音という波動」に記録されているので、創作者の意識は楽曲と共に永遠不滅なのではないのだろうか。かの哲学者の思想とは相容れず、「音楽」という創造物が「主観」と乖離することは決してないと僕は考える。

ブルックナーが「神に捧げた」永遠不滅にして最期の名作、交響曲第9番を聴く。

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2007年08月29日

狂気

41NQHZRHJ0L._AA240_.jpg東京は曇り空で昨日の月食は残念ながら見ることはできなかった。
そう考えながらとり出したのがピンク・フロイドのCD。「狂気(原題は、The Dark Side of the Moon)」と題するこのコンセプト・アルバムは人間の内面に潜む「闇、暗」の部分にフォーカスをあてて仕上げられたロック史上屈指の大傑作。
制作されて30数年を経過するが、未だに色褪せないその音作り、哲学的な歌詞など音楽を志す(演る人ももちろん、趣味で聴く人にも)人々に絶対に聴かせたいと思う人類の至宝である。

Pink Floyd:The Dark Side Of The Moon

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2007年08月28日

より良い人生を送るため

51Z18AXM00L._AA240_.jpg今日は満月である。しかも月食。こういう日は、「過去のこだわり」や「不要なもの」を捨てるのに好都合である。新しい自分自身に生まれ変わる「転機の日」なのだ。そう思った矢先、ほんとにいくつかの案件に変化が訪れた。不思議なものだ・・・。

僕がまだ大学生だった頃、初めてビートルズを聴いたとき感動した。
それが、Here, there and everywhereという楽曲。
クレジットはLennon/McCartneyだが、明らかにポール作。ポールの作品の中でも1、2を争う屈指の名曲。そして、ビートルズがライブ活動を辞めて最初に出したアルバム「Revolver」に収められているラブ・バラードである。美しい。

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2007年08月27日

粋・・・

419.jpgモーリス・ラヴェルの音楽は真夜中に聴くのになぜかぴったりだ。昨晩も遅くに帰宅してふとピアノ協奏曲を聴きたくなり、おもむろにアルゲリッチ盤をとり出した。第1楽章最初の鞭の音から相当なインパクトがあり、ジャズの影響下にあるとてもお洒落な楽曲。特にモーツァルトのクラリネット五重奏曲に感化されたといわれる第2楽章は簡潔に書かれ、かつ精緻でとても美しい。

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団

ラヴェルはアルゲリッチの十八番でCDも何枚か発売されている。どれをとってもアルゲリッチらしい劇的で痛快な演奏。まぁ、人によっては「ラヴェルらしからぬ」ということで嫌悪感をもつこともあるでしょうが・・・。
数年前、ゲルギエフ&ロッテルダム・フィルのバックでルガンスキーがサントリーホールで演ったのを聴いた。生で聴くとより感動的。

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四季

apletonov.jpg昨日の「第7回早わかり古典音楽講座」ではチャイコフスキーをとりあげた。長年クラシック音楽を聴きながらチャイコフスキーは僕にとっては遠くも近くもない作曲家であったが、久しぶりに集中的にいろいろ聴いてみると、流石に人気作曲家。旋律はとっても美しく、曲想は優美かつ豪快、そして構成もよくできていてどんな初心者にも「感動」を与えてくれるから立派なものである。

今日はチャイコフスキーの「四季」を聴く。
ヴィヴァルディの協奏曲「四季」やハイドンのオラトリオ「四季」など、「四季」と名のつくクラシック音楽はいくつかあるが、中でもこの曲集は暗く切ない。尤もロシアという広大な大地で人々が感じる「四季」と極東の島国で育った我々日本人が感じる「四季」にはもちろん大きな相違があるだろう。厳密な意味で「四季」を持っている、そして「四季の移り変わり」というものを感じることができるのは我々日本人だと思うが、日本の「わび、さび」に通じる「何か」がこの曲集の中にはある。

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天使の詩

933.jpg今日はレナード・バーンスタインの89回目の誕生日である。逝って早くも17年、時の経過は早いものである。バーンスタインといえばマーラー。60年代の早い時期からマーラーの全集を制作し、ウィレム・メンゲルベルクやブルーノ・ワルター、オットー・クレンペラーなどの旧世代の指揮者たちの後釜として20世紀後半を代表するマーラー指揮者として君臨した。映像を含めて生涯に3度マーラー全集を作っているが、やはり晩年のユニバーサル盤が最高か。

マーラー:交響曲第4番ト長調
クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾソプラノ)
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ショスタコ!!

444.jpg秋に井上道義氏のプロデュースで「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」なるイベントが開催される。会場は何と日比谷公会堂。1960年代頃までは海外アーティストの公演はほとんど「日比谷」だったというその会場においてショスタコが鳴り響くのだ。やばい。行きたい・・・。

ショスタコーヴィチは、特に交響曲や弦楽四重奏曲など、ベートーヴェンの同ジャンルの傑作を音楽史上唯一乗り越えた「天才」作曲家であると僕は常々評価する。スターリン政権下の恐怖政治の中、そしてソビエトという社会主義国家の中で体制に従いながらも「自分自身の主張」を影ながら忘れなかった唯一無二の音楽家である。

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2007年08月23日

哀愁

41S82F7ZG2L._AA240_.jpg今朝起きたとき妙に涼しく一瞬「秋の気配」を感じた。午後はいかにも残暑という日差し。
毎年初秋の頃に聴きたくなる音楽がある。セルゲイ・ラフマニノフ。19世紀末に生まれ20世紀の前半のコンポーザー・ピアニストとして一世を風靡したロシアの大音楽家である。
彼の作風はチャイコフスキーと並びとても浪漫的でメロディアス、しかもメランコリックで胸にキュンと迫る愛おしさを感じさせるものである。モダニズムやキュービズム全盛の時代に「時代遅れ」だと後ろ指をさされた時期もあったようだが、21世紀の今も好んで聴かれているところをみるとやはり天才音楽家なのだと思う。

ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調作品44
ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団
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2007年08月22日

異常な緊張感

img_1491345_49014694_0.jpgソ連の映画監督、アンドレイ・タルコフスキーが自身の遺作「サクリファイス」について語った記事が残されている。彼が「サクリファイス」という映画を生み出そうとした理由がそこには語られている。要約すると、
「今日世界はもっぱら物質的な面で発展を遂げている。その進化は霊的なものと真反対の方向に向かっている。しかしながら、私たちは霊的な発達を目指さない限り、生きることはできない。自分の宇宙が矮小化し、その調和が破壊されるなら、もはや人には生き続ける理由がない。」そして、「物質が荒廃しても生き延びられるが、精神が荒廃すると人間性は滅びる」という考えから映画の中で「自己犠牲をなすことのできる人間」を提示したということだ。

20年ほど前の公開時に観たときには難解でさっぱり理解できなかった。しかし、主人公のアレクサンデルが一人静かにステレオ装置で聴いていた日本風の音楽(尺八か)については妙に当時から気になっていた。数年前、そのアレクサンデルがまさに映画の中で聴いていたレコード(CD化されているが)を手に入れ、一聴したときの「驚きと感動」はいかばかりのものだったか・・・。

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2007年08月21日

精密なるスイス製時計

025.jpgあっちの部屋ではストラヴィンスキー「春の祭典」のいろんな指揮者(コリン・デイヴィス盤バーンスタイン盤デュトワ盤小澤盤ゲルギエフ盤、そして、アシュケナージの2台ピアノ盤)の演奏が大音量でかかり、一方こっちの部屋ではラヴェルの「ダフニスとクロエ」が遠慮がちに響く。何だかバレエ・リュスの大会みたいな様相。同居人が秋の2台ピアノ版自主公演に向けて楽譜を広げながら「おさらい」をしているのだと。
今日も外は暑い一日。「春の祭典」は「暑苦しさ」の権化のような楽曲だが、「ダフニス」はとても涼しい音楽である。ヴォカリーズ風の女声合唱を聴いているだけで大変に気持ちよい。ストラヴィンスキー曰く「モーリス・ラヴェルの芸術は、スイス製時計のように精密だ」ということらしいが、なるほどと頷かされるほど見事な音響である。

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
ルネ・デュクロ合唱団

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2007年08月20日

オルガスムス

51B8Q9SMR5L._AA240_.jpgジェーン・バーキンが久しぶりに来日公演を行うようだ。もういくつになったんだろうか?60年代末、セルジュ・ゲーンズブールとの恋愛で話題を振りまいた妖精もいい年齢になっているはずだ。
僕が彼女の音楽に初めて触れたのはやっぱり20年近く前だったか・・・。当時まだゲーンズブールは健在で娘のシャルロットとの近親相姦をモチーフにしたデュエット・ソングをアルバムに収めたりして第一線で活躍していたように記憶している。この歌はショパンの「別れの曲」のメロディを借りていることで有名だからご存知の方も多いことと思う。
しかしながら、もっとすごい楽曲がある。
ジェーンとセルジュがデュエットした名曲、
それが「Je T’aime…Moi non plus」。

ジェーン・バーキン:ベスト
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2007年08月19日

死は生である

41VYT02SVNL._AA240_.jpgムソルグスキー作曲の組曲「展覧会の絵」。『プロムナード』はコマーシャルなどで頻繁に使用される楽曲であるゆえ特別クラシック音楽ファンでなくとも広く知られている音楽であると思う。もともとはピアノのために書かれており、ポゴレリッチ盤がおすすめ。
また、後世の著名な作曲家が挙って管弦楽に編曲しており、中でもラヴェルの編曲版はポピュラーだ。流石にオーケストレーションの魔術師といわれるだけあり、この管弦楽版を聴くとその色彩感たるやこちらが原曲なのではないかと錯覚を起こさせるほど上手すぎる編曲者の天才的腕前を堪能できる。

しかし、今日は敢えてもう一つの傑作編曲盤をとりあげる。
キング・クリムゾン、イエスと並ぶプログレッシブ・ロックの三大バンドの一つ、エマーソン・レイク&パーマーによるロック版組曲「展覧会の絵」。70年代初頭に一世を風靡した傑作アルバムである。

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
エマーソン、レイク&パーマー
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2007年08月18日

神様ムラヴィンスキー

253.jpgお盆が明けると何かと忙しくなる。今月の「早わかり古典音楽講座」のお題は「チャイコフスキー」。僕も若い頃は夢中になって聴いた記憶のあるクラシック音楽初心者にとっての登竜門的な作曲家である。6月にとりあげたドヴォルザークもそうなのだが、彼らの音楽は飽きやすい。しかし、いざ聴いてみると、さすがに100年以上前の音楽で今もって世界中で愛好されている楽曲。「馬鹿にする勿れ」、さすがに素晴らしい。

交響曲第5番ホ短調。もう何度聴いたことだろうか?古くはメンゲルベルクのLP、そして「定盤」のムラヴィンスキー、さらには朝比奈御大やコバケンの生演奏など。この曲は本当に良くできている。作曲者自身は、「あの中には何か嫌なものがあります。大袈裟に飾った色彩があります。人々が本能的に感じるような拵えもの的な不誠実さがあります」などとのたまう駄作らしいのだが、いやいや、さにあらず。CDで聴いてもそうだが、特に生演奏だとどんな指揮者やオケでもかなり感動させられてしまうのだからすごい。ここまで書いてふと思い出したが、この曲は以前小林研一郎盤をとりあげている。となると、今日もまた同曲異演盤を推そうというのだから我ながら呆れると同時にチャイコフスキーに頭を下げたくなる思いである。

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2007年08月17日

感謝

41Y48MW1Z1L._AA240_.jpg昨日まで実家に帰省していた(直前、岐阜の瑞浪市に滞在、そして伊勢神宮に参拝し、久々の「旅」を堪能した)。僕の実家のある地域では毎年8月16日がお盆の「お墓参り」の日と決まっている。というわけで、年に一度ご先祖様にお参りするために、兄弟姉妹、叔父叔母など普段顔を合わすことのない親戚中が勢ぞろいするお正月以上に賑やかな時季なのである。ほとんど田舎の風習といってもいいくらいだが、朝8時くらいからお墓に花などを供え、お寺で「施餓鬼」という法会が行われる。

※施餓鬼
ウィキペディアにょると「六道輪廻の世界にある凡夫の中でも、死後に特に餓鬼道に堕ちた衆生のために食べ物を布施し、その霊を供養する」と浄土宗の儀礼らしいが、仏教のことは不得手なのでこれ以上は言及しない。

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2007年08月13日

母!

31RCZ0BQ5QL._AA200_.jpg数年前、ムターがアンドレ・プレヴィンと結婚したというニュースを聞いたときぶっ飛んだ。
確か彼女の初来日は81年、カラヤン&ベルリン・フィルに帯同しての東京文化会館での公演だったと記憶している。ともかく当時高校生だった僕は当然ベルリン・フィルの高額のチケットを入手できるはずもなく、テレビで放映されたベートーヴェンのコンチェルトを聴いて一目惚れならぬ一耳惚れをしたことを昨日のようによく覚えている(今も大変な美形だが、当時はとても可愛いお嬢であった)。
早速ムターのLPを何枚か買い集め、毎日のように聴いた。そして、翌年82年の「大阪国際フェスティバル」に出演するということでわくわくして出掛けたのである。その時のプログラムはモーツァルトの第5協奏曲とブラームスの協奏曲。外山雄三指揮の大阪フィルをバックに18歳とは思えない素晴らしい演奏を披露してくれた。以来、確かに彼女がレコーディングしたCDはほとんど聴き、来日すれば結構な頻度で聴いてはきたのだが、どうもいま一つ感動に程遠い印象が拭えなかった。

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2007年08月12日

夜のモーツァルト

604.jpgここのところモーツァルトを頻繁に聴いている。クラシック音楽の世界に足を踏み入れた当初はいろいろと聴いたものである。ところが、ある程度「古典音楽」を知るようになるとある時期からモーツァルトの音楽をあまり欲さなくなるようだ。おそらく誤解なのだが、どうも軽く思えたり表面的に聴こえると錯覚してしまうのだ。
齢40を超えると突如としてアマデウスの世界が恋しくなる時期が訪れる。真夏の今頃である。小林秀雄が「モオツァルト」の中で「疾走する悲しみ」と表現した音楽は「ト短調交響曲」だと勘違いしている輩が多いが、実は「ト短調五重奏曲」のことなのである。

モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516
アルバン・ベルク四重奏団
マーカス・ヴォルフ(ヴィオラ)
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2007年08月11日

51W04B4BTFL._AA240_.jpgピンク・フロイド。キング・クリムゾンと並ぶプログレッシブ・ロックの雄。今でこそそれほど時間をかけ聴くことはなくなったが、時折無性に耳がその音を欲し、CDトレイに乗せることがある。決まっていつも深夜、独りで「思索」に耽っている時である。ピンク・フロイドの音楽、それも「原子心母」以降のアルバムは、限りなく日の出に近い未明の薄暗い空にとても似合う。深夜未明に合うとはいえ、最近は夜更かしをすることが極めて辛くなっているゆえ0時過ぎに彼らの創り出す「音響」と一体化することで意識を「空(くう)」にすることが多い。

Pink Floyd:Wish You Were Here
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パーソネル
ロジャー・ウォーターズ(ヴォーカル&ベース)
リチャード・ライト(キーボード&ヴォーカル)
ニック・メイスン(ドラムス)
デイヴィッド・ギルモア(ヴォーカル&ギター)

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2007年08月10日

誰?

352.jpg久しぶりにザ・フーを聴く。僕がフーの音楽を初めて聴いたのは25年ほど前、確か高田馬場にあった映画館でレッド・ツェッペリンの「永久の詩」と「ウッドストック」の2本立てが上映されており、後者の映像の中であったと記憶する。今でもピート・タウンゼントの風車弾きの演奏姿やキース・ムーンの破天荒なドラミング姿が目に焼きついてはなれないほど衝撃的であった。当時キース・ムーンは既に鬼籍に入っており、ベースのジョン・エントウィッスルも逝ってしまった今となってはオリジナル・メンバーでの本物ライブが聴けないことがとても悔しい。どう考えてもフーはライブでこそ実力を発揮するライブ・バンドだからである。そのフーがスタジオでライブ並みのエネルギーを発現し、かつ完璧なアンサンブルをもって世に送り出した傑作アルバムが「Who’s Next」。

The Who:Who’s Next
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2007年08月09日

宇宙人バッハ

41XHQ4C8P5L._AA240_.jpg友人にバッハの「マニフィカートBWV.243」を絶賛する女性がいる。僕もJ.S.バッハの音楽は好きでよく聴く。マニフィカートも大変によくできた良い楽曲である。
生涯で1000曲以上もの楽曲を残したバッハは「宇宙人」だと思うのだが、いわゆる「教会音楽」と「世俗音楽=器楽曲」に分けて考えた場合、彼が教会の行事のために書いた音楽はどれも「四角四面」に閉ざされたイメージを喚起し、窮屈さを感じてしまうのは僕だけだろうか?キリスト教、それもプロテスタントという「枠」の中で物理的にも概念的にも様々な規制があるだろうし、あくまで「人間」のために書いた曲だから仕方がないことなのかもしれないが(要するに、バッハは「教会音楽」は人間に、「世俗音楽=器楽曲」は神のために書いたのではないだろうか)。

一方、教会とは離れたところで創造された楽曲は、目に見えるあらゆる事象を超えた「宇宙的な広がり」を持つ。例えば、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番。終楽章に有名な「シャコンヌ」をもつ人類至宝の傑作楽曲である。とても一艇のヴァイオリンで演奏しているとは思えない、そして人間の叡智をどれだけ結集してもこれを超えるだけの音楽は生まれ得ないのではないかと感じさせてくれる「神の音楽」である。

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2007年08月08日

選ばれし者

255.jpgケネス・ブラナー監督の「魔笛」を観た。舞台を第一次世界大戦に移しての見事な演出。原作では支離滅裂といわれているストーリー展開も無理なく、純粋にドラマとしても楽しめた。序曲から映画が始まるが、原作のドイツ語に対し本映画は英語バージョン。「魔笛」のオペラをよく知っている者からすると相当違和感があったが、それも数分も経たないうちに気にならなくなった。

そもそも「魔笛」はモーツァルトが死の年に書き上げた最後から2番目のオペラ。台本作者のシカネーダーとモーツァルトがフリーメイソンの会員だったことから、第2幕でタミーノが受ける試練の数々などフリーメイソンの象徴が隠されているとしばしば論議されてきた。フリーメイソンに関しては全く知識不足で語るのは憚られるが、一言で言ってしまうと「スピリチュアルな世界」が語られていると考えて間違いない。

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2007年08月07日

駄作の名盤?

41RVQX5595L._AA240_.jpgジャズの世界でもクラシックの世界でもロックの世界でも、いわゆる「トリオ」という編成は稀に見るスーパーグループが生まれる確立が高いように感じる。例えば、初期のビル・エヴァンス・トリオやエマーソン・レイク&パーマー、クリームなど。クラシックならカザルス・トリオ。そして、つい10年ほど前に臨時的に結成されたアルゲリッチ、クレーメル&マイスキーのトリオ。
どうも2人ではなく3人であるというところに何か訳があるようだ。ただし、その3人が個々に優れた演奏能力を持ち、力量が同等の場合に限るが。

ベートーヴェンにもトリオ作品は多いが、異色なのはトリオのための協奏曲。「傑作の森」といわれる時期の初期に位置する珍しい編成の楽曲だが、一般的な評価は決して高いとは言えない。確かに構成や楽想などわかりにくい音楽ではないのだがインスピレーションに乏しく精彩を欠くゆえ、すぐに飽きが来る。おそらく各ソロ楽器の活躍のバランス、技量のバランスがとれていないことが最大の問題なのかもしれない。(楽聖がなぜこのような作品を書いたのか定かではないらしい)

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2007年08月06日

Out of Body Experience

41KZFAZARVL._AA240_.jpgイエスというバンドがある。NoではなくYesというところが意味深い。僕がイエスの音楽に初めて出逢ったのは今から23年前。「こわれもの(Fragile)」、「危機(Close to the Edge)」という所謂最盛期のパーソネルによる2枚のアルバムなのだが、特に、「危機(Close to theEdge)」。このアルバムはロック史に限らず全ての音楽ジャンルを超えて人類が生み出した至宝の傑作楽曲であると断言できる。

イエス:「危機(Close to the Edge)」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1959481


パーソネル
ジョン・アンダーソン(ヴォーカル)
ビル・ブラッフォード(ドラムス)
スティーブ・ハウ(ギター)
クリス・スクワイア(ベース)
リック・ウェイクマン(キーボード)

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2007年08月05日

是か非か

053.jpg内田光子がベートーヴェンの後期ソナタを完成させた。つい先日発売されたのは後期の入口に位置する作品101と楽聖が孤高の境地に達する「ハンマークラヴィーア・ソナタ」作品106の2曲。本日購入し、早速聴く。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」
内田光子(ピアノ)
amazonで購入!

この曲はおそらくピアニストにとっても超難曲で、1度や2度聴いただけで理解できる代物ではない。しかし、第9交響曲や後期弦楽四重奏曲に通ずる「人間臭さ」と「神々しさ」が同居する「崇高な宇宙的」広がりを持つ。僕自身クラシック音楽を聴き始めて30年近く経ちやっとその本質が理解でき始めてきたと言っても言い過ぎではないだろう。前にも書いたが、印象的なのは1999年、エリック・ハイドシェックの来日リサイタルでのハプニング。体調不良を押して公演を継続していた彼に以降の公演のキャンセルを決断させた「鬼のような」楽曲なのである。聴く側にもニーチェの哲学書全部を読み切るかの如くの途轍もない肉体的エネルギーと精神力とを要求するゆえ決して日常的に聴ける音楽ではない。

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2007年08月04日

花火

41VTzJ-7ylL._AA240_.jpg.jpg東京都庭園美術館で「舞台芸術の世界~ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」が開催されているというので午後足を運んだ。パリのオペラ座によるバレエ・リュス初期の3作品、『薔薇の精』、『牧神の午後』、『ペトルーシュカ』も上映されており、なかなかの見ごたえ。バレエ・リュスの見所は当然ニジンスキーの舞踏であるが、残念ながら映像は残っていない。特に、モーリス・ベジャールによる「春の祭典」に衝撃を受けモダン・バレエの世界に一時期のめり込んでいた僕にとってニジンスキー版の「ハルサイ」は死ぬまでに一度は観てみたいと思う舞台芸術である。

ところで、ディアギレフのおそらく最も著名な協力者はイーゴリ・ストラヴィンスキーであった。ディアギレフはストラヴィンスキーの初期の管絃楽曲『幻想的スケルツォ』作品3と『花火』作品4を聴いて感銘を受け、彼に作品を委嘱することになる。結果として後の3大バレエ音楽「火の鳥」、「ペトルーシュカ」、「春の祭典」が生まれたのである。そういう意味でディアギレフは20世紀芸術界の最も重要なプロデューサーであったことは間違いない。

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2007年08月03日

鑑識眼

51envzYCIsL._AA240_.jpg.jpg独特の鑑定眼をもち、小林秀雄や中原中也など多くの文人たちとの交友を楽しんだ青山二郎。骨董の鑑定家として有名でとうとう一生職業に就かなかった所謂「高等遊民」。今の時代ならフリーターになってしまうところだが、羨ましき哉それも古き良き時代。いずれにせよどんなことでも傑出している「何か」を持っているとそれは「強み」であるといえる。

ところで、ブラームスの永遠の恋人であったクララはロベルト・シューマン未亡人。シューマンは有名な作曲家だが、今でいうところの音楽評論家の“はしり”のような存在でもあり、19世紀前半の音楽界において重要な役割を果たした。1831年当時、ドイツの楽壇においては無名の存在であったショパンを「一般音楽時報」という誌面で取り上げ、「諸君、帽子をとりたまえ、天才だ」という言葉で有名な評論を残している。そして、約20年経った最後の発表となる評論でも、やはり名も無き新人ヨハネス・ブラームスを世に送り出している。彼の鑑識眼は相当なものであるという証である。

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2007年08月02日

菜食

41Z5TTATXPL._AA240_.jpg.jpg数年前、3年間ほど完全にベジタリアンになった時期がある。今でこそ外で知人と食事するとき「魚介類」は食べるようにしているが、牛豚や鶏肉は正直あまり食べたくない。当然ながら家で食事をするときはほぼ菜食。胃がもたれなく身体も調子がいいので健康を気にしている方にはおすすめ!
ところで、「謝肉祭(英語でCarnival)」という単語はラテン語のcarne vale(肉よ、さらば)に由来するらしい。カトリックなど西方教会の文化圏で見られる通俗的な節期で、仮装行列やパレードが行なわれたり、菓子などを投げたりする行事が行なわれるが、我々日本人にはあまりピンと来ないかもしれない。

音楽の世界にも「謝肉祭」にまつわる作品はいくつかある。シューマンの「謝肉祭」、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」が有名どころだろうか。特に、サン=サーンスのものは2台のピアノを中心とした室内楽編成でとても楽しい曲集。中でも完全なオリジナルで真面目に書いた自信作「白鳥」は万人受けする超有名曲である。いろいろな作曲家の作品のパロディがたくさん組み込まれているため、作曲者としてはそれらの作曲家からの批判を恐れ、世に発表するつもりは無かったらしい。

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2007年08月01日

癒し

280.jpg外の空気はやけに重い。こういう暑苦しいときは「音の少ない」地味な音楽を聴いてリラックスするのが効果的である。何も考えずにぼーっとして聴くことができ、耳の邪魔にならない楽曲。人それぞれ好みはあるだろうが、僕にとって魂を癒してくれるのは「中世・ルネサンス期」の音楽。

ヨハンネス・オケゲムの「死者のためのミサ曲」。15世紀フランドル派の初期を飾る作曲家の現存する最古のレクイエム。
近代以前の人々にとって、「死」は常に日常的な出来事だった。天変地異や疫病で簡単に多くの人間が命を失い、出産によって母親が亡くなることも多く、産まれた子供の多くは早死にしてしまう。そんな人々にとって「死」は常に隣にあるものであった。

ヨハンネス・オケゲム:レクイエム
ポール・ヒリアー指揮ザ・ヒリヤード・アンサンブル
http://www.hmv.co.jp/product/detail/432280

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