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2008年04月01日

エイプリル・フールにグレン・グールドを

B00005GB4M.09.MZZZZZZZ.jpg一昨日の「早わかりクラシック音楽講座」はテーマがベートーヴェンの「田園」交響曲だったので、当時のベートーヴェンの闘争的な心境を表す「熱情」ソナタの第1楽章を聴いていただこうといつものように愛知とし子に演奏をしてもらった。このソナタのモチーフは「運命」交響曲同様4つの音。ほとんどこの交響曲と双子ではないかと思われるほど激情的な主題はそっくりそのままである。講座が終わった後、ご参加いただいたともみさんに声を掛けていただき、「ところで、グールドの『熱情』ソナタは聴かれました?テンポが倍くらい違うんじゃないかと思うくらい遅いんですよ」と仰る。

実は僕のレコード棚には、グールドが亡くなった1982年に追悼盤として再発されたモーツァルトの「ピアノ・ソナタ全集」のレコードが鎮座している。おそらく1度か2度しかレコード針を落としていない新品同様のLPボックス・セットである。それは、当時バックハウスクラウスのモーツァルトを聴き始め、いろいろなピアニストの演奏を聴いてみたいと思っていたこととグールドの弾くバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を初めて聴きぶっ飛んだという経験が合わさってレコード店で見かけるなり大枚をはたいて購入したものである。しかし、どのソナタもテンポが極端に速過ぎたり、これでもかというくらい遅かったりと、当時の僕の耳では理解できない風変わりな演奏だったのでそのまま封印してしまったのである。以来、彼のモーツァルトは一度も聴いていない。しかも、それに懲りたのかグールドに関してはバッハ以外せいぜいブラームスの音盤を取り出して聴くのが関の山で、当然ながらベートーヴェンは一度も聴いていなかったし、もちろん持ってもいなかった。
とはいえ、先日のともみさんの言葉が気になり、しかもタワーレコードのポイント・カードが貯まっていたので、新宿南口でカウンセリングがあったのをついでに件のグールドの「熱情」を購入した。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57「熱情」
グレン・グールド(ピアノ)

うおー、遅い。狐か狸に化かされたのかと思うほど常識外れの演奏だ。そういえば今日はエイプリル・フールでもあるから化かされついでをいいことに熱心に耳を傾けてみると・・・、
意外に違和感がないのだ。モーツァルトの時に感じたほどの拒絶感が皆無である。
最近だとポゴレリッチが似たような演奏をするかもなぁ、と考えながら熟読ならぬ熟聴すると、楽章が進むにつれその世界にもっていかれてしまう。そういう「魔法」がこの中にはある。グレン・グールドというピアニストに関しては先入観で決してはかれない「何か」が必ずある。彼が弾くとその解釈が途端に「必然性」を帯びてくるから不思議だ。これは名演です。異形でありながら人智を超えている。これで他のソナタも楽しみになった。じっくり聴いてみよう。

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コメント (4)
ともみ:

1.[返信]

おかちゃん
早速聴いてみたのですね?私も最初はビックリしました(笑)一昨年、ピアノサークルの定期演奏会で熱情を弾くにあたり、勉強の為に買ったCDがたまたまコレでね〜私のような素人には、いかにCDのように速いテンポで弾くかというのも1つの目標なので、「え〜アタシより遅く弾いてる〜」って驚きでした。でも素人が真似してはたたの眠くなる演奏です(笑)グールド様だからあれでオッケー、あれは彼だから「有り」なんでしょうね。なんとも味わい深い演奏でした。先日、「のだめ」で流れた曲ばかりを100トラック集めた8枚もののCDが割引になっており、モーツァルトの二台のピアノの為のソナタを聞く為だけに、二台のピアノの一枚もののCDと同じ値段だったのでのだめの8枚ものを買ってしまったのですが、その中にも、グールドの熱情が入っていました。世の中にはあれだけ沢山の熱情のCDが売られているのに、なんで数ある熱情の中からよりによってグールドが選ばれているのだろうかと笑ってしまいました。多分あのようなCDを買われる方はクラシックマニアではない方も多いと思うので、あの熱情を、熱情と思ってしまうのかしかね(笑)でも最近病みつきになってしまって、ついついグールド版を聴いてしまうワタクシです。

おかちゃん:

2.[返信]

>ともみさん
早速聴いてみました。やっぱりグールドは天才ですね。モーツァルトは辛いですが、ベートーヴェンは「あり」だと思います。
しかし、「のだめ」のコンピレーションにグールド盤が入っているとは・・。初めて聴いた「熱情」がグールドだということになると変な癖がついてしまいますからねぇ。風変わりな演奏しか受け付けなくなってしまう身体になってしまいます(笑)
まだ他のソナタは「田園」ソナタしか聴いていませんが、これも良かったです。

雅之:

3.[返信]

こんにちは。
グールドのベートーヴェン演奏には、この言葉を捧げましょう(ポゴレリッチの演奏にも・・・)。

・・・・・・良き趣味なるものは、不安なものへの見え透いた方便だ。
良き趣味なるものの持ち主たちは、皇帝の衣服の古物を買うのに懸命だ。
良き趣味なるものは、非創造的なる者の第一の逃げ場だ。
それは、芸術家の最後の散兵壕だ。
良き趣味なるものは大衆の麻薬だ。・・・・・・ ハリー・パーカー

ヴィクター・パパ・ネック著(DESIGN FOR THE REAC WORLD-human Ecology and Social Change. 1971)より
(阿部公正訳 晶文社「生き延びるためのデザイン」から、原文と照らし合わせ、私が少し訳文に手を入れました。)

おかちゃん:

4.[返信]

>雅之様
おはようございます。
ハリー・パーカーの言葉、的を射てますねぇ。
何事も殻を破り、チャレンジですね!!

ところで、MLの件失礼しましたm(_ _)m
設定変えましたのでもうミスはないと思います。

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