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2008年04月23日

明るくも哀しい四重奏曲

abq_mendelssohn.jpgここ数日はメンデルスゾーンを集中的に聴いている。春たけなわの今頃にちょうど良い「温度感」に心が洗われるのだ。
ところで、メンデルスゾーンは地味ながら6曲の弦楽四重奏曲を書き上げている。そのほとんどは青年期に書かれており、若々しく植物が芽吹くような青々とした色合いはとにかく居心地が良い。
例えば、一般論、というか僕自身の感覚なのだが、弦楽四重奏というジャンルは、色彩がモノトーンで、微風にふっと撫でられるかのような気持ち良さがある反面、突如音の塊が攻撃するような激しさが錯綜する面白さをもつと思う。当然ながらベートーヴェンやショスタコーヴィチのそれがバイブルなのだが、楽聖の初期の作品はともかくとしていかんせん重過ぎて、そうしょっちゅうプレーヤーにかける気になれない側面がある。ところが、特にメンデルスゾーンの最初期のカルテットは「愛」と「哀」に満ちた音楽で、聴いていて少しも邪魔にならず癒されるのだ。

昨日も書いたが知己の友人H-というよりほとんど弟のような感覚でつきあっていた-が亡くなって、何だか日を追うごとに実感が湧いてきて、とても悲しい気持ちに襲われる。ほとんど喪に服すような気持ちで今日もいたものだから、かのメンデルスゾーンの楽曲がより一層心に響く。Hは特別クラシック音楽を好んで聴いていたわけではないので、的外れといえば的外れなのだが、ともかく哀悼の意を表して明るくも切ない音楽を何とはなしにかけながら日中は仕事をしていた。

メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12
アルバン・ベルク四重奏団
※廃盤のようです。

このメンデルスゾーンの四重奏曲は作曲者20歳の頃の名作。当時、「マタイ受難曲」の復活演奏に向けて奔走していた時期にこの天才作曲家が産み出した「愛」の音楽。何だか今日のような哀しい時に、その哀しみを浄化してくれる力のある音楽なのである。メンデルスゾーンはいわゆる秀才型の作曲家だと思うが、とはいえ神童と呼ばれていた時期もあり、「天才」であったことは間違いない。子どもの頃から英才教育を受け、親のレールに乗っかってきた彼は、ほとんど反抗することなく受身に生きる優しい人間であった。ブラームスが持つようなイジイジした欝的な暗さや、かといってワーグナーのような誇大妄想的な躁的な明るさももちあわせない中庸の音楽がここからは聴こえてくる。
とてもバランスのとれた美しさ・・・。

夜、Aが就職活動中の従兄弟を引き合わせたいというので、新宿のインド・カレー屋で3人で会った。1社内定はとっているものの、彼は彼なりにいろいろと考え、そこに安易に決定するのではなく、まだまだ活動を継続しようとしているところが偉い。とにかく若いうちは考えに考え、壁にぶつかり、悩みに悩んだ方が良い。答えを焦らなくとも良い。

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コメント (5)
雅之:

1.[返信]

おはようございます。
ご紹介の曲、昔、NHKFMで聴いたことは有り、他のメンデルゾーンの曲同様、耳になじみやすく、結構最初から親しめた記憶は有りますが、その当時、CD等を購入して積極的に聴いてみようとは思いませんでした。今回、おかちゃんのブログに触発されましたので、輸入盤等でこの曲のCDを入手し、ぜひ、もう一度聴いて見たいと思いした。
なお、今私の持っている彼の室内楽のCDは、弦楽八重奏曲 (スメタナSQ+パノハSQ)くらいのもので、寂しい限りです。この機会にメンデルスゾーンの室内楽のCD、全曲揃えたくもなりました。

ところで、マーラーの交響曲第5番冒頭のトランペットのファンファーレは、やっぱりメンデルスゾーンの「結婚行進曲」のパロディなんですかねぇ?おかちゃんの一連のブログを読んでいるうちに、ユダヤ繋がり等が、非常に気になってきました。
ついでに言えば、結婚式で、ワーグナーのオペラ『ローエングリン』の「婚礼の合唱」を選ぶか、メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』の「結婚行進曲」を選ぶかは、結婚生活のスタートとして、大変な選択なのだとも思いました。誰も式場まかせで、そんなこと考えないのでしょうが・・・。
私は、メンデルスゾーンの方が良妻賢母っぽくていいですが、女性には精力絶倫なワーグナーの方が魅力的なのでしょうかねぇ?

ブログ本文と不釣合いな、下品なオチのコメントになり、スミマセン。

良雄:

2.[返信]

おはようございます。いつもお世話になります。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲の選曲は、さすが岡本さんですね。感心しています。メンデルスゾーンは室内楽曲も数多く作曲していますね。多分重要なレパートリーだったのでしょう。

おかちゃん:

3.[返信]

>雅之様
そうですね、おっしゃるとおりマーラーの第5とメンデルスゾーンの結婚行進曲は「ユダヤ性」で関係あるかもしれませんね。そのあたりは不勉強でコメントいたしかねますが。
ワーグナーとメンデルスゾーン双方の行進曲についても具体的に考えたことがなかったので何とも言いかねますが、ワーグナーの方が厳かな雰囲気で僕は好きですねぇ。ワーグナーは女性を口説くのが得意(能動的)で、メンデルスゾーンは受身的な性格(中性的な感じ)。性格が音楽にもろに反映されていると思います。

>良雄様
ありがとうございます。この四重奏は隠れた名品だと思います。

雅之:

4.[返信]

こんばんは。
先週末メンデルスゾーンの室内楽全集を買いました!!
http://www.hmv.co.jp/product/detail/436565
今日やっと全部聴き終わったのですが、どれもとても良い曲で演奏の水準も極めて高く、室内楽の喜びを心ゆくまで楽しめ、しかも1枚あたりの価格も安く、これは一押しのお薦めCDです。
メンデルスゾーンはやはり凄い作曲家です。メンデルスゾーンの魅力を教えてくれたおかちゃん、ありがとう!!

おかちゃん:

5.[返信]

>雅之様
おはようございます。
雅之さんの追求心はさすがですね。「室内楽全集」とは!
こういうBoxもののCDが本当に安く手に入るようになりましたね。
僕も機会を見て勉強したいです。
僕が「魅力」を教えたのかどうかはわかりませんが、「クラシック音楽講座」の効果(?)というのがいろんな形で現れるんだなと思いました。
こちらこそ今後ともよろしくお願いします。

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