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2008年10月13日

私のオペラ人生は、幻想ではなかった

romantic_callas.jpg(個人的には)落ち着いた三連休だった。普段から平日も休日もない身なので、連休だろうと何だろうとそもそも関係ないといえば関係ないのだが・・・。それにしても、目に見えない世間のムードの影響は受けているだろうから、秋らしい行楽日和の今日などは特に余裕があったように思う。
夕食後、何年か前に公開された映画「Callas Forever(邦題:永遠のマリア・カラス)」を観た。随分と脚色されているであろうほとんどフィクションのようなストーリーだったが、それなりに面白く観ることができた。
壮年期のカラスは、声質の素晴らしさもさることながら、どちらかというと舞台上の演技に他を圧倒する特長を見せたようで、この映画でも歌劇「カルメン」を映像化するための舞台裏や舞台そのものがメインになっており、歳を重ね衰えた声をカバーするために全盛期の頃の歌声を映像に重ね合わせて制作するという方法がとられ、映画製作が進行していく。
しかし、最終的にはこの「カルメン」は偽物だとし、フィルムそのものを破棄することを訴えかけるカラス。演技も歌声もどんなに完璧に見せられようとこれは「幻想」だというのだ。そして、彼女は続ける。

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2008年10月11日

クナッパーツブッシュのワーグナー

wagner_kna_1962_dvd.jpg最近は、政治の世界や経済界の出来事全ては「人間」が意図的に創作した寸劇のようなもので、良くできた(というよりここのところは裏がみえみえの)虚構のように冷静に捉えることができ、随分大局的ものが見れるようになったかなと我ながら感心する。
今日もとある区議の話を聴いていて、政治家も結局は「身の保身」ばかりに意識を置いていて、選挙時の公約などはどこ吹く風で、お互いの足を引っ張り合ったり、ライバルを貶めることばかりを考えているようで、こういう人達ばかりだと日本はいつになっても変わらないなと何だか情けなくなった。
かつての明治維新(幕末)の時のような血気盛んで勇気溢れる「憂国の志士」のような人材は現れないものなのだろうか・・・。いや、たとえそういう輩がいたとしても、今のシステムだと結局表舞台に出られず、埋もれた存在になってしまうのがオチで、裏側からジワジワとしくみを変えていくような努力をした方がやっぱり賢明なのかな、などとひとり考えた。

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2008年08月06日

騎士道

mascagni_sinopoli.jpgフロイトがマーラーを診断した時に指摘したのは「母親への固着」。一方のアルマの深層心理には「父親への固着」をみる。要は、お互いがお互いに対して「異性の親」を求めて成立した結婚であったのである。マーラーは奥方に「聖女にして聖母である」ことを求めた反面、ある時は暴君と化し、強烈な嫉妬心やコンプレックスからアルマを抑圧し、彼女に家庭に入ることを徹底的に求めた。いつの時代にもある「男尊女卑」的思想のようなもので、今だったらDV(ドメスティック・バイオレンス)に至ってもおかしくはない関係だった(マーラーがアルマに暴力をふるったかどうかは定かでないが・・・)。
家庭で亭主関白であったマーラーは仕事上においても専制君主であった。しかし、たとえそうだとしても一方で音楽的才能が群を抜いた存在であったゆえどの劇場からも引く手数多で、若い頃から音楽監督として引っ張りだこの生活を送っていたところはさすがといえる。
1890年、30歳のマーラーがハンガリー王立歌劇場監督時代に為した大きな仕事が2つある。一つは12月16日、たまたまブダペストを訪れていたブラームスが観劇する中、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を振って大成功を収め、巨匠から激賞されたこと(後のウィーン宮廷歌劇場監督への足掛かりを作ったことになる)。そして、その10日後にはマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」(同年5月に初演されたばかり!)を振り、こちらも成功を収め、このヴェリズモ・オペラが世界中のオペラ・ハウスの舞台にかけられるきっかけを提供したこと。
マーラーはこのオペラに登場するアルフィオ(恋敵であるトゥリッドゥに決闘を申し出て、トゥリッドゥを殺してしまう)の気持ちが痛いほどよくわかったのかもしれない・・・。

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2008年08月04日

他を知るは智、己を知るは明

wagner_tristan_bernstein.jpgマーラーは1883年、23歳の時に初めてバイロイトを訪れ、「パルジファル」の舞台に接し、ワーグナーの洗礼を受けた。以来、彼の中でこの巨匠は「神」となるのだが、晩年の著作「宗教と芸術」の影響から、菜食主義者にもなったのだという。マーラーは「私には三重の意味で故郷がない」と言った。彼の中でユダヤ人である自分自身が許せなかったのかどうかはわからないが、反ユダヤ主義の急先鋒であったワーグナーの虜になったことやアメリカ生活の中で黒人蔑視の見解を手紙に認めているところから考えると、自分のことは棚にあげて極端な「人種差別主義者」であったようだ。びっくりするような矛盾。
おそらく自己の中のコンプレックスの裏返しが家庭や仕事における暴君としての自分自身のアイデンティティの支えだったのだろう。あるいはその事実こそが彼の創造の原点、発火点であったとするなら、人が自らにもつ欠点というのは、社会生活を営なみ名を馳せていく上でとても重要な要素になるのだろうから否定することもなかろう。

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2008年07月22日

楽しむ

wagner_meistersinger_karajan.jpgハ長調という調整はやっぱり開放感があるのだろう。僕は専門の音楽教育を受けていないし、絶対音感も持ち合わせていないので学問的に考証することはできないのだが、以前クラシック音楽講座でもとりあげたモーツァルトの「ジュピター」交響曲やワーグナーの「マイスタージンガー」前奏曲などを聴いていると妙に元気が湧いてきて、一層前向きな気分になれるから時折聴いて自らを鼓舞することにしている。
ここのところ数ヶ月(月に1回のペースだが)、対面カウンセリングをしているあるクライアントから嬉しいメールが届いた。最近ある方から「日々感謝し、楽しむ」ようアドバイスをもらったという。これまで自分は「楽しむ」=「快楽」という風にとらえていたのだが、「他人に喜んでいただけるよう施す」ことが「楽しむ」ことなのだとようやくわかったという内容であった。毎月開催する「人間力向上セミナー」では、理屈ではなく体感的に学んでいただこうと様々な切口で「気づき」の場を提示しているのだが(彼にも参加していただいて既に3ヶ月が経過した)、きちっとフォローしていれば自然気づきを得ていただけるのだと思った次第。
人間はたった一度の経験でものごとをインプットすることはできない。何度も繰り返し反復することが大事なのだが、かといって「トレーニング」というとハードルが高くなり続かない人が多いからどのように提示すべきかずっと考えていたのだが、まめなサポートが受講していただいた方の変化(成長)を助長することなんだとあらためて気づかされた。

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2008年07月16日

カラヤン19回目の命日に・・・

mozart_karajan_dongiovanni.jpg講師契約をしているW社から「職場を悩ますゆとり社員の処方せん」という書籍が送られてきた。ここ1-2年、モンスター新人が現れ、一般常識が通じない彼らをどう教育するかをサジェスチョンしている本なのだが、最近は大学生ともあまり接点がなく、世の中の状況がそんな風になっているとは知らず、我ながら驚いた。少なくとも僕が主宰するセミナーを受けに来るような若者は、素直で向上心も高く、近頃の学生でも人を想う気持ちがしっかりとあり、大したものだなと思っていた矢先だから、少々意外感もあったのだ。この本によると2008年度に入社した新人は、いわゆる「ゆとり教育」が始まった1992年に小学校に入学した世代で、なるほど「ゆとり教育」というものの功罪がくっきりと現れているのが目の当たりにでき、非常に面白いと思った。モンスター新人は向上心も高いという。頭も良いらしい。しかし、他人と協調することができないことがどうやら特徴のようで、自分勝手な行動が目立つのだと。しかも新人の基本である「電話をとる」ということが全くできないらしい(要は、携帯電話世代であるゆえ、他人にかかってくる可能性のある電話に出る習慣がないのが原因とのこと)。

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2008年06月29日

女と男は永遠に分かり合えない

wagner_lohengrin_karajan.jpg「女は男の全てを知りたくて、男を問い詰める。男は黙って自分を信じ、ついてきて欲しいと女に望む。だから女と男は永遠に分かり合えない-。そんなワーグナー自身の諦念を感じずにはいられない」(飯森泰次郎)
歌劇「ローエングリン」について指揮者の飯森氏が語った言葉はまさに言い当てており、人間心理そのものといえるかもしれない。ワーグナーは天才という借りの衣装を身にまとった極めて人間らしい人間だったことがよくわかる。

昨日、朝日新聞の土曜版を何気なく見ていたら「永遠の愛のユートピア」というタイトルでリヒャルト・ワーグナーの「結婚行進曲」がとりあげられていた。メンデルスゾーンの同名曲と人気を二分する結婚式の定番曲である。その音楽がクラシックの、しかもワーグナーのオペラ中の楽曲であることを知らない人は多いことだろう。第3幕の冒頭、華麗で勢いのある例の前奏曲に引き続き演奏されるこの音楽は男性的な音楽を書くことの多いイメージをもつワーグナーの「女性的な面」を表現したようなとても優雅で心に染み入る「幸福」の音楽である。今日のような全国的に激しい雨の日に、独り静かに佇みながら聴くのにとても適した楽曲だ(そもそも「ローエングリン」というオペラ自体、かの狂王ルートヴィヒ2世やアドルフ・ヒトラーがはまったほどの音楽で、『鶴の恩返し』さながらのストーリーや静謐で美しい音楽など「ワーグナーの毒」てんこ盛りで、どの場面を聴いてみてもその美しさに声が出ないほどだ)。

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2008年06月15日

内定お祝い会!

Love_for_Three_Oranges_Gergiev_proko.jpg午前中から昼過ぎまで銀座で一仕事終え、そのまま帰宅するのを変更して初台に移動。かつての卒業生の自宅に何人かが集まっているというので初訪問、2時間半ほど談笑した。相手が年頃の女性ばかりだったこともあるだろうが、ちょっとした恋愛や結婚話で盛り上がった。少なくとも結婚を意識する男女は「意識のステージ」が同じであることが重要だ。人は誰でも自分なりの「こだわり」を持っていて、それがアイデンティティとして機能するうちはいいのだが、一度「執着」となると様々な歪が生じてくる。「執着」が人間関係のもつれの大きな要因となる。

夜、去年の12月から4ヶ月間ほど開催した「就職エントリーシート講座」に参加した有志が錦糸町に集まった。みんなが無事内定をいただき、そのお祝いということで、とある「台湾素食料理店」で会食。とにかくみんなおめでとう!

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2008年06月14日

副都心線開業!

bartok_aohige_boulez.jpg東京メトロ・副都心線が開業した。最寄りの「東新宿」駅が一層便利になった。渋谷と池袋がどちらも10分足らずで結ばれる。今日のところは用事もないので駅にも入っていないし、乗車もしていないから何とも言及できないが、大勢の鉄道ファンが詰め掛けたらしい。
しかしながら、(大江戸線もそうなのだが)地下数階のところにホームがあるものだから、列車内は年中ジメジメしており、湿気臭くて乗るたびに頭が痛くなるし、気分が悪くなる。だから普段余程のことがない限り大江戸線は使わずJRまで歩くことにしている。健康にも良いし(植物が「光」と「大地」と「水」で生き永らえるように人間にとっても「光」と「水」は絶対的存在であり、なくてはならないものである)、余計な電車賃も使わなくていいし、それに何より嫌な思いをしなくて済むから一石三鳥なのだが、今後はついつい利用してしまいそうだ・・・。

ここのところオペラをよく聴いている。R.シュトラウスの有名どころをざっと聴き、グルックの「アウリスのイフィゲニア」ヴェルディの「アイーダ」、そしてラヴェルの「子供と魔法」と続き、今日は何を聴こうかと思案していたところ、バルトークを聴きたくなりブーレーズの指揮する音盤をとりだした。1時間に満たない1幕ものの歌劇。ベラ・バルトークの音楽は「夜の音楽」だという。妙な不気味さと安穏とした静けさが同居する20世紀前半を代表する傑作を彼はいくつも産み出した。

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2008年06月13日

キャリア支援

ravel_previn_lenfant.jpg朝からGCDFの継続学習のため新橋のキャリアカウンセリング協会にて「トレーナーデモンストレーションコース」を受講した。余裕をもって家を出たものの、どういうわけか新橋駅で迷ってしまい、到着はギリギリ(最後は汗かいて走りました・・・)。

講座中「今なぜ日本でキャリア支援が必要なのか?(どんなニーズがあるのか?なぜ必要なのか?)」というテーマでのグループ・ワークがあったのだが、我々のチームでは『バブル崩壊以降の社会的変化(終身雇用制の終焉、リストラ、就職氷河期など)により、特定の若年層や高齢者層、あるいは弱者といわれる方々などへの就業に関する問題が浮上したことがニーズの発端で、結果的には、「勝ち組、負け組」といわれる格差社会に変貌したことがより一層必要性を高めたのではないか』という結論になった(答えがあるわけではないので結論はどんなものでもいいのだが)。
確かに先日の秋葉原での無差別殺人事件を起こした容疑者も、とどのつまりは仕事に対する不満であり、将来への漠然とした不安からああいう凶行に走ったようだし(だからといって殺人はもってのほかだが)、身近なところでもキャリアについて悩んでいる友人はたくさんいる。自分自身も昨年独立した際に同じような不安や問題を抱えていたのだし・・・。
冷たく言い放てば、キャリアを含めて自分の人生に関しては「自己責任」だから他人や社会に牙を向けるなとなるのだが、教育を含め国や有識者、あるいは我々キャリアと名のつく職業に就いている人たちが、真剣に取り組まなければならない仕事がまだまだたくさんあるということなのだろう。

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